漆黒に映えるは白雪【2】 (ページ37)

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渡辺side

樹「へぇ〜。店でも期待の新人って感じで、売上も伸びてたのに勿体ないね」

「うん、まぁ、………はぁ、」

樹「しょっぴー、さっきからため息つきすぎだから」

樹の家のソファに突っ伏す俺は、本日何度目かも分からない大きなため息をついた。

樹は換気扇の下で、いつもと変わらないフレーバーの煙草を吸っている。

樹「しょっぴーの気持ちも分かるけど、深澤くんの意見が正しいのも分かる。今までだって、そうしてきたじゃん？」

「そうだけどさ……」

そうだけど、やっぱり目黒は気にかけていた後輩の1人で、……後輩というか、最早仲間だと思っていたところもある。

樹「今のところ、目黒がその友達を殺すか、殺せなければ2人とも死ぬか、って事なんだよね？」

「そう、」

樹「……まぁ、どっちにしろその友達は死ぬって事か。で、タイムリミットは明日だと」

「はぁ………」

樹「しょっぴー、目黒の連絡先教えてくんね？」

「え、なんで？」

樹「なんもできねぇけどさ、美味いもんでも食べさせて、可愛い子でも呼んで励ましてやるかと思って」

「励ますってさぁ……」

樹「目黒って何が好きなんだろ。あ、食べ物の話な？」

もうどうしたらいいか分からなくて、目黒は海鮮が好きなんだよ、と言葉を発することもできなかった。

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