❅·̩͙60 ページ20
この車が手放せないのは、
他に何も父を連想させるものがないからだ。
父は母や私に与えることが好きだった。
母の喜ぶ顔を見るのが好きだと、恥ずかしげもなく
娘に言えるような父であり男性だった。
このランボルギーニだって、将来私とドライブに行きたいからと
見栄を張って買ったもの。
初めて車庫に入れた時の父の嬉しそうな顔をまだ覚えてる。
エンジンを入れようとブレーキを踏めば
助手席が上に開いた。
｢…よくわかったね｣
｢多分、消えちゃうんだろうなって思ったから｣
よいしょ、と大きな体を折り曲げて入ってきた。
目｢ドライブでしょ？どこ連れてってくれるの？｣
人をよく見ている。
優しく覗き込みながら、彼は私の前方に網を張った。
1人にしないという確固たる意志を持った網だ。
あえて行き先は告げずに発進した。
しつこく聞いてくることをしない彼は、その代わり
私を見つめることで答えを聞き出そうとする。
彼の綺麗な目に見られていると、本当に顔に穴が空く気がした。
目｢片手運転かっこいいっすね｣
｢…でしょ｣
目｢左手暇じゃない？｣
ランボルギーニという外車にも関わらず
父は日本でしか走らないからと右手ハンドルのモデルを買った。
だから空いてしまうのは左手なのだ。
暇か、という質問はおかしいけど。
別に、という意味で左手をヒラヒラさせたら
それがぐっと掴まれた。
あっという間に手が重なって、指が絡められる。
あまりの動揺に声が出ず、
危うくアクセルをフルスロットルにしてしまうところだった。
｢な、ななな、なにしてんの｣
目｢わ、手ぇちっちゃ｣
｢離して｣
目｢えー…やだ、笑｣
渡辺や深澤なら理解出来るこの行動。
女が苦手だと言ってた目黒が、いやそんなこと言ったら
そもそも2人きりでドライブしてること自体そうだが
手を繋いでくるなんて、どう頭を働かせたって分からない。
親指で私の手の甲を撫でてくるのが擽ったくて
赤信号に引っかかる度に離そうとするけど
ぎゅーって握られて離れない。
諦めて目的地に着くまでそうしていた。
静かで優しいBGMだけが、2人の間を流れていた。
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カジャ(プロフ) - りんごさん» ご愛読ありがとうございます。なかなか進みませんね…精一杯の勇気を振り絞ってあれだったようです笑 楽しんでいただけているなら嬉しいです。 (5月2日 20時) (
レス) @page36 id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - お疲れ様です！くっつかへんのか〜ぃの前に、ハグだけか〜ぃ！って海のとこで叫びましたꉂ🤣ワクワクしながら待ってマス！ (5月2日 20時) (レス) @page41 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - すれ違ったふたりが戻ってきて安心しましたーヽ(；▽；)ノ空気感、好きです♡ (4月29日 22時) (レス) @page36 id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
カジャ(プロフ) - りんごさん» 大変申し訳ありません、ご指摘感謝致します。 (4月12日 18時) (レス) id: c91b141c55 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - カジャ様、ワクワクしながら拝見してます⋆♡もしかしてですが、45と48が抜けております。 (4月12日 13時) (レス) id: ba11269092 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カジャ
| 作成日時：2024年4月11日 19時
